申し訳ございまんこ

とにかく俺は性癖について書かなければならない。性癖とはチンポの趣向である。アンポではなくチンポだ。インポでもない、インポであってはならない。チンポがギンギンでバキバキになることが性癖だ。インポ反対!

俺は俺のチンポしか知らない。他のチンポを見たことがないという話ではない。銭湯でチンポのデカいジジイを前にして感じる本能的な畏縮は経験しているし、いやらしい動画サイトで見たくもないチンポのサムネイルが視界に入ったこともある。そうではなくて、勃起するシーンや、射精を導くプロセスは自分のモノしか知り得ない。だから自分の性癖について書こうと思う、というのは建前で他人の性癖を考えるってキモいし、理想の女性が持つ性癖について妄想したらそれは結局自分の性癖に帰結するし、そうするしかない感じだ。

俺は風俗に行くと必ず「ンフフこういうお店ってンフ来るの初めてなんですよねンンフ」と告げている。童貞であることもカミングアウトしている。それらは全て嘘だし、「コッチはヴァージンで…」からの『初めてなのにドンドン入るわね』についても咥え慣れているので当然のことである。ただ一つの真実はンフフという笑い方だけだ。会社で笑い方がキモいと怒られたことがある御墨付きだ。つらい。

店も女も初めてだ、と告げると通常とは異なる対応を受けることがある。あからさまに手を抜く場合と、筆おろし系AVで見たような超絶サービスか、のどちらかだ。言うまでもなく俺はモテない。やがて童貞が精神に刻まれるわけだ。筆おろし系のシチュエーションが好きになるのは順当な進化だろう。騎乗位で『挿れるよ』とくれば金玉が平らになる勢いで射精する。そうだろう!?

そういった興奮がある場合と、やはりそうでない場合がある。ギンギンにしたチンポと脳が一瞬で乾燥したエノキダケのように萎びる未来を招くためだけに存在する地雷が確実に撒かれているのだ。

2年前の9月、俺はサイトを開設した。その勢いで、童貞を捨てにススキノのソープへ行った。ボカシのある在籍写真によって膨らんだ性欲と期待を股間に、受付を済ます。長く感じた待ち時間が終わり、案内される先でカーテンが開かれ、想像していたのと違うブスを前にし、巨乳だから…と散り逝く希望を掻き集め始める。芸人のバービー似だった。

正直に、こういうお店は初めてで…実は童貞で…と告げる。『アタシでいいの?』というバービーに、良いわけないだろと思いながら「全然イイッス!むしろお願いします!」と返した。せめて良いサービスを受けたかったので機嫌を損ねないように努める。それが功を奏したのかは分からないが、待ちわびた瞬間はリードされる騎乗位だった。これにはチンポもニンマリ。

無限の宇宙!ビッグバン!広がる世界を知った。井の中のチンポ。「ダミーだ!待機せよ!」と金玉通信。微動だにしない精巣。荷造りを始める勃起中枢。果たして童貞は死んだのか。分からぬまま再びカーテンをくぐり、冷たい秋風を感じた。

結局のところ、俺は初めてを告げ続けて思い出を上塗りしたい。初恋を誰にするか迷うのと同じだ。「確かに初恋だったかもしれないけど当時は恋愛観も何も構築されていない純粋な子供だったし初恋を恋愛という観点から考えると別の女の子になると思うし何より今思えばブスだったし…」と何ら変わりない。満足ゆく結果が出るまでアタリの出ないクジを引き続けるわけだ。キチンと童貞卒業出来ないと成仏出来ないゾ。

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